Nutubeのゲイン攻略(長いです。。。)
最近時間ができたのとブレッドボードの大きいものを買ったのでNutubeの実験をよくしています。
製品化するには基板、ケースなどを作らないといけないのでもう少し先になると思います。
ちなみにお待ちいただいている受注生産品は基本的に板金待ちで板金が到着次第製作、完成というながれです。まだ年末の繁忙期には突入していないようで11月中に板金が上がってくるようです。(業種によって繁忙期、繁盛期というそうですね。)
さてNutubeのゲインテストをしていました。主にShinya's Studioで現状使用予定なのはHAとEQPです。HAの場合はゲインは20〜50dBほどで大きい方がよく、EQPの場合は10〜16dB程度あればいいです。そこでいろいろなシチュエーションで実験してみました。
Nutube1段ではデータシート上は13dBまでと書いてありましたがそれはアノード電圧(以下Ea)30Vでアノード抵抗(以下Ra)が330kの時の話なのですがどうやら電圧によって歪率が変わり13dBでも出力が落ちたいるだけのようで電圧をあげると改善されるみたいです。30V以上で機材でよく使う電圧といえばファンタムの48Vです。ファンタムは1chで5mA程度ですがNutubeは低消費電力(1mA以下)なので全く問題ありません。
48V時は歪率も下がり出力も+数dB上がります。手元に330kの抵抗がなかったので360kで実験してみましたがバイアスによっては+17dBまでいけました。Raに関してはこれがギリでこれ以上例えば470kなんかでもやってみましたがゲインはほぼ変わらずでf特が悪くなっていくようです。電圧に関しては80Vまではいいそうですが多分ゲインはほぼ変わらず歪率が若干良くなるレベルだと思います。寿命が早くなるのではと思います。ですので現段階でゲインMaxはこの状況だとおもいます。2段で34dBいけるでしょうか。
次にEQPのようにトータルで16dBほどでいい場合。これはNutube1段で終わりでもいいですがせっかく2段入っているのでパラにしてみました。パラにすると入力インピーダンス(以下Z-in)は変わらず出力インピーダンス(以下Z-out)を半分にできます。内部抵抗が330k2つで165kになるのでRaも160〜180kにしてZ-outが90k程度になります。
そして1段のゲインを13dB以下にしたい場合。データシートにはEa=12V Ra=100kで9dBと書かれているとおりRaを小さくするとゲインも下がりますが30Vでやってみました。
Ea=30V
Ra=
100k/13dB
47k/9dB
33k/6dB
20k/3dB
という感じです。ちなみに歪率は出力ではなく入力の大きさにより変化するのでゲインが下がるほど最大出力も下がりました。Ea=48Vではまだできていません。360kの結果からそれぞれ2dBほど変わると予想します。
というわけで現状のトータルゲインおすすめ構成(ゲイン幅をざっくりと書きます)
Ra初段/2段目
34dB 360k/360k Ea=48V
30dB 100k/330k Ea=30V?
26dB 47k/330k Ea=30V?
23dB 33k/330k Ea=30V?
17dB Nutubeパラ 180k Ea=48V
13dB Nutubeパラ 47k? Ea=30V?
9dB Nutubeパラ 22k? Ea=30V?
ちなみに初段を小さくする理由は2段目を小さくすると最大出力も小さくなるからです。最大出力をさげると結局後であげないといけなくなります。歪率をどこまで良しとするかによりますがパラだとEa=48V,Ra=180kで+14dBuほど、シングルでもRa=360kで+10〜14dBuほどですがパラの方がもちろん歪率は下がります。(1kHz)
+14dBuというのは-16dBFS=+4dBuで-6dBFSということです。普通のライン受け入力のオーディオインターフェースで受けるとDAW内でメーターが-6dBのところを指します。
結局Nutube単体で使用すると+4dBuのプロオーディオではDAW内でフルスケールまで振らせることができません(サイン波1kHzの話なので2Mixではギリいけるかもしれません)。なので結局Nutubeのあとに10dB程度のゲイン付きのバッファを入れないといけません。Shinya's StudioではこれをNeve1073ゆずりのBA283を参考に組もうと思っています。