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1176のRevisionについて



おかげさまでShinya's Studioではご注文いただいているものを含めてこれまでに63台の1U76を販売してきました。

本業は一応エンジニアではありますので僕に限らずこの職業に関係のある方は数え切れないほど1176に触れられていると思いますが、昨年ごろから研究用としてオリジナルの1176を持っておいたほうがいいなと思うようになりました。そこで色々アンテナを張っていたのですがついにヤフオクで購入してしまいました。今回もとりあえず入札しておいてダメなら今年中をめどに再検討しようかと思っていたのですが、競うことなく落札となりました。

1176ln_front_hq.jpg 

今回落札できたものは復刻の1176です。というわけで今回は復刻の1176について少し解説していこうと思います。復刻ではない1176については各種サイトで色々解説されており、こちらでも以前したように思いますので今回は割愛させていただきます。

まず復刻の1176は1176のC、D、Eあたりを元に製作されているようです。最近出たものの仲間として有名な1176AEですがこちらはAとEを元に製作されています。DとEはほぼ同じですので細かいことを除けばベースはほぼ同じだと思います。

復刻とそうでないオリジナル(A〜Hなど)の見分け方はメーター付近にあるロゴです。
メーターの上にUA Classicsと書かれている場合は復刻(AEも含めて)となるようです。

ただこの1176の復刻に関して、復刻のなかでバージョンがあります。これはあまり知られていないことではないしょうか。1176はA〜Hなどをリビジョンと読んでいますがシリアルナンバーでそのリビジョンを判別することができます。復刻の1176では特にリビジョンというものはありませんがシリアルナンバーはもちろん存在し、そのナンバーによって若干内部が違うようです。それは本家サイトに詳細が書かれています。
http://www.uaudio.com/blog/1176-la2a-hardware-revision-history/
A〜H(マニュアルにはJなどもありますが)やLA2に関しても載っていますので興味のある方は是非。

上記サイトの復刻1176を指すReissue 1176の欄をみると3つのバージョンが存在することがわかります。これを関西弁で訳すと(突然?w)こうなります。

Serial Numbers 101-1959 一番好きなC、D、Eを元に作ったねん。
SN; 1960-2946 アッテネーターが手にはいらんくなったから変えたで。だからインプットトランスも変えたで。
SN; 2947- アッテネーター作ってくれるとこ見つかったから戻したで。

こんな感じです(笑)
つまりオリジナルに似ているのはSN;が真ん中以外のバージョンですが、この真ん中のバージョンも長所があります。
この点はずっと言っている部分ですがオリジナルは入力端子から直でアッテネーターに来ています。アッテネーターは直流(DC)に弱いので入力にDCがのっているとダメージを受けガリの原因になります。またDCがのったまま動かしてもガリのようなノイズが出ます。そしてバランス接続のままアッテネーターを可変にしているため2〜3連になっておりどれか1つでもダメージを受けるとガリっぽくなります。

ちなみに今回落札したものは800番代で初期の復刻?(笑)でした。

真ん中のバージョンはこの点が改善されトランスのあとにアッテネーターを入れることでDCを遮断し、アンバラで可変することで単連になりすべて問題が物理的にクリアしています。

ちなみにShinya's Studioの1U76もノイズ問題を解決するため結果的に真ん中のバージョンに近い形となっていますがこのいいとこ取りをしており(詳しくは秘密ですが)さらに2;1やその他の部分でも色々調整しています。Rev.Hのようなトランスレス入力と切り替えるオプションも選択可能です。

というわけで今回も1176を購入時にはそれを踏まえて検討していたのですがどちらがいいというわけではなくできればA〜H、復刻の2バージョンすべて研究してみたい気はします。海外では復刻の真ん中のバージョンは一部で邪道とされているような記事もありますが、ガリの件では有利ではと思っています。

このアッテネーター問題はわりと有名で1176に限らずこの600Ωアッテネーターを採用している機種特有の問題です。バランスのままレベルが変更できるのと、入出力ともにインピーダンスが変わらないため割と簡単に設計が可能です。

というわけでもし復刻の1176をお持ちの方は是非チェックしてみてください。
代理店が世界に複数あるため必ずしも購入時期とSN;は比例しないとは思いますがSerial Numberと仕様は一致しているかと思います。

またこれから中古で購入を検討されている方はShinya's Studioの1U76の新規購入を含めてご検討ください(笑)1U76もRev.Dを元にしていますがいろいろ工夫が詰まっています。
http://store.shinya-s-studio.com/ca2/1/p-r2-s/
1176_40th_F.jpg 


4000 DYNができたよー



IMG_9230.jpg
今年の年始からお問い合わせいただき注文頂いていました4000 DYNが完成しました。
Shinya's Studioでは長めの3ヶ月強かかりました。
4000 Compは前にも作ったことがあったのですが今回はGate/expandがついたDYNです。
長くなった理由は基板、ケースを1から作ったというのもありますが特殊な内部配線や電源周りにすこし苦労したのと他に受注がたまっていたこともあります。

内部配線が特殊と言ってもSSLの卓とほぼ一緒ですが、希望を受けましてインサートものを挿せるようにしてスイッチ1つでインサートがいろいろ変わります。SCを押せばDYNのSCに入り、押さなければオーディオパスとしてコンプの後に入ります。preを押せばコンプの前に入ります。主にEQを想定しています。

上記回路を実現するためにリレーを合計10個使用しました。1つのリレーに2個スイッチがついているので20個の切り替えです(笑)このリレーがかなり電流を食うので出来るだけ省電力のオムロン製リレーを使用しました。

また同様にLEDも電流を食います。正直コンプ基板はオペアンプ、VCAなどあまり電流はくわないのでリレーとLEDにかかっています。LEDの電流制限抵抗はカードについています。この抵抗は昔のLED用に設計されています。1つ10mAでステレオで20個使うので200mAも食いますが今は明るい高輝度LEDというものがあります。明るいと少ない電流で同じ明るさになります。電流は1/10、20mA程度にできました。

肝心の音はというとVCAがDBXなのでDBXっぽさも若干あり、トランスもなにもつんでないのに太くていい感じです。f特が太いというより叩くと太くなるという感じでしょうか?むかしからこのコンプは好きです。歌とかにもいいです。卓についている割にとりあえず感はありません。76の様にディスクリートではないのでSNは同じくらいですが内部のインピーダンスは低く外部ノイズにはかなり強いです。

Gateはスレッショルド以下を下げる、Expandも小さい音は小さく、大きい音は大きくそんな感じです。僕はあまり使いませんがタムとかには有効ではないでしょうか。あとコンプと合わせてトークバックに使われます(笑)

コンプのつまみは時計でいう10時〜11時頃にゼロやレシオのいいところがあるので全部そこらへんにしておけばいいというのが定石です。そこらへんにしておいてHAを調整する。76的なあれです。しかもなんとオートゲインなのです。叩いた分ゲインがあがります。叩かなくても上がりますが。スレッショルドとレシオの可変抵抗が2連になっていてそこでゲインもいじっている感じです。

76もいいですが4000 DYNも侮れません。
残念ながらこちらは最初に書いた通りもう直ぐ出荷されますのでみなさまもいかがでしょうか?
カードはまだ若干あります。もちろんリキャップはしています。