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VUメーターの使い方、調整の仕方



お待たせしました!
前回
http://blog.shinya-s-studio.com/blog-entry-920.html
はVUメーターがなんなのかに付いて触れましたが今回はVUメーターの使い方、調整の仕方について書きます。

VU2018_F.png 
VUメーターは前回の記事にも書きましたがアルバムの中で曲ごとの音量感を揃えたり、目安とする音源の音量感を参考にする時など音量感を見る時に使いますが今回は後者で説明していきたいと思います。

VUメーターは目盛りが-20〜+3までありますが見る場合の目安としてゼロ付近で振っているのが理想です。
+3VUで振っているとそれ以上がわかりませんし-10VU付近で振っていると細かい数値がやはりわかりづらいです。そこでまずご自分の環境に合わせて大体0VUで振ってくれるようにVUの調整をする必要があります。

単位


調整の前に今から出てくる2つの単位について解説します。一気に難しくなります(笑)

dBFS[デシベルフルスケール]
これはデジタルでの単位です。デジタルの最大であるゼロからどれくらいかというものです。
ゼロまたはマイナス何dBかになります。ゼロからの相対値になります。

VU
これはVUメーターの目盛りの単位です。

調整

Shinya's StudioのVU Boxを例に説明していきます。
http://store.shinya-s-studio.com/ca8/84/p-r8-s/

その前にVUメーター本体についているトリムですが下記写真の赤矢印のトリムは絶対に触らないでください。VUメーター自体の振れ方を調整しているものですのでその調整が変わってしまいます。

VU2018_F_B1.png 
ダメゼッタイ!

それでは調整の仕方を順を追って解説します。長文ですがお付き合いください。。。
読みながらやるというよりは1度全て読んでから順にやってみてください。

1、まず接続します

VU2018_R.png 
オーディオインターフェース等のアウトからVUメーターの入力に接続します。入力はメスです。オスのコネクタを差し込みます。
ACアダプターも接続します。必ず付属のものをご使用ください。
スルーアウトを使用される場合は調整する前に接続してください。接続先の危機に影響を受けて接続する、しないでレベルが変わる場合があります。

2、とりあえず目安の音源を再生してみる

ここからDAWを使って調整していきます。
雑ですがDAWに音源を取り込んでとりあえず目安の音源を再生してみましょう(笑)

VUメーターの針が振れなかった方は接続を確認してください。電源は入っていますか?

針がぶっちぎりに触れた人は再生をやめてマイナスの精密ドライバーでトリムを下げてください。再生したままだとVUメーターがダメージを受けます。
VU2018_F_B2.png 

調整トリムはL、Rそれぞれに4つあります。4つは中心のツマミで選択できます。
ツマミを一番左に回すと一番左のトリム、右に回すと右のトリムです。
トリムはメーターの針と同じで反時計回りでマイナス方向へ、時計回りでプラス方向へ触れます。
ぶっちぎった人は反時計回りへ回してください。これを繰り返して再生、停止を繰り返しながら大体0VUが触れるように調整してください。Shinya's StudioのVUは針を見ながら前から調整ができます。

逆に少ししか触れなかった人は再生しながら時計回りへ回して大体0VU振らせてください。

3、信号を入れてみる

上記2で既にいい感じになったかと思いますが音源で針を振らしながら完璧に調整するのは無理なので基準となる信号をいれてみましょう。

ここからはProtoolsでの説明です。シグナルジェネレーター(以下SG)というプラグインを使います。
SGは信号を発生させるプラグインで調整に必要な信号を出すことができます。
マルチモノプラグイン-Otherに入っています。
使用する信号はサイン波の1kHzです。サイン波の1kが出ればなんでもいいです。
(サイン波は一番シンプルな波形、1kHzは可聴帯域の中心に近く機材の測定で頻繁に使用します。
SSLなどのレコーディングコンソールでもセンターセクションに1kHzを基本に数パターンの周波数のサイン波を出せるSGがついています。)

先ほど使用した音源のトラックの横にステレオトラックを作ってSGプラグインを挿します。
かならず音源と同じ環境で信号を出してください。
20180424.png 
モノラルトラックでステレオ出力にするとLRそれぞれレベルが下がります。
モノラルトラック、モノ出力2つでLとR2つ出力してもいいですが作業が倍になります。

SGを立ち上げると最初にサイン波が-20dBで出力されます。
20180424-2.png 
これが-20dBFSという基準になります。

この状況でまずVUを見ます。
この時針が0VUよりぶっちぎって入ればミュートしつつSG側を-22,-24dBと下げていき、
0VUより低ければ-18,-16dBと上げていって0VU付近まで出力を近づけます。

20180424-3.jpg 
(大体合った状態)

0VU付近まで近づいたら最後にVU側のトリムで微調整を行い左右バラバラの針を0VUまで合わせてください。
これでSGの出力が-10dBFSの場合、-10dBFS=0VUになったということになります。

調整後の使い方

ここで目安にした音源がCDなどマスタリング後の音源の場合かなり音圧が高い状態のものになり、
これからする作業がレコーディングやミックスの場合は0VUまで上げる必要はありません。

今調整したトリムが一番右の場合、残りの3つに例えば2dBずつ低い基準信号で設定しておいてミックスでは大体-14dBFS、録りでは-16dBFSくらいで振らすという具合に使ってください(あくまでもレベルは1例です)。

この調整で基準レベルをどれくらいにするかはジャンルやトラック数、トラックの内容にかなり影響しますので初めての方は是非ご自分で研究して見てください。

dBFSは共通言語になりますので自分はミックスまででマスタリングは他の人という場合、マスタリングされる方とか周りに相談して見てください。
「今度のミックス-10dBFS=0VUでだいたい0VU振ってるくらいで渡すけど」
「それでかすぎじゃね?」
こんな感じです(笑)

最後に

今回は単位など専門的な用語が多かったですが慣れれば割とすぐに調整できます。1度調整すればインターフェースが変わらない限り基本毎回する必要はありません。VUへの出力にボリュームが付いている場合はボリュームを動かすたびに調整してください。ボリュームが小さすぎるとメーターも0VUまで振れません。

最悪、音源だけで調整してもいいですが基準信号がないと大体どれくらい振らせているのかわからなくなります。

CD等の音源をDAWに取り込んでいろいろとVUを眺めて見てください。
itunesなどDAWと同じレベルで出力できるのであればそれでもいいです。
この音源は大体-10dBFSだなとか、これは-8dBFSまでつっこんであるなとかわかります。
CDは通常プロのマスタリングエンジニアがプロの機材を使ってマスタリングしていますので、安易に同じくらいVUを振らそうとすると音が破綻します(笑)くれぐれも突っ込みすぎにはご注意ください。。。

http://store.shinya-s-studio.com/ca8/84/p-r8-s/

なにか質問がありましたらコメントかDMなどお気軽にお寄せください。

VUメーターってなんなの?



こんにちは今回はVUメーターについて書いていきます!

Shinya's StudioではこれまでにたくさんのVUメーターを作ってきましたが今年はさらに一新したモデルを製作しました!
http://store.shinya-s-studio.com/ca8/84/p-r-s/

VUメーターとは


さて皆様はVUメーターというものをご存知でしょうか。VUメーターというのは音楽制作で使用する重要なメーターのうちの1つです。音源のレベルを視覚的に判断するときに使います。メーターというとDAWでよく目にするデジタルのピークメーターが馴染み深いかと思います。

peak_meter.png 

ピークメーターはその名の通り音源のピークを見るメーターです。主にデジタルの0dBを超えていないかを確認するのに便利です。

対してVUメーターは音源の平均をみるためのメーターです。世に出ているCDのピークは0dB付近に調整されているものがほとんどですが聴感上の音量差(音圧差)はCDごとに感じると思います。VUメーターは平均レベルを見ることで人間の耳の音量感に近いものを目で確認することができます。

VU2018_T.png 

特にミックスやマスタリングなどではアルバムの中でのそれぞれの曲の音量感や、目安としている音源との比較などに使用する必須アイテムのうちの一つです。

VUメーターは測定器


VUメーターは測定器です。
たとえば身の回りにある測定するもの。体温計でも体重計でも湿度計でもなんでもいいですがこの測定器自体の精度が悪いと測った値は信じられなくなります。
体温計が39度とでてるけどそんなに熱あるかな?とか。体重計で2回測った結果が全然違うなど。

VUメーターは測定器なので国際規格で厳密に仕様が決められています。
○平均値は300mSecの平均
○目盛りは-20〜+3dB
などなど。他にも沢山ありますがこの基準を満たしていないとVUメーターとは呼べません。

VUメーターの業界標準は「SIFAM」

F2010330-01.jpg 
ややこしいですが上の写真のようなVUメーター自体を作っているメーカーは海外、国内合わせて数社あります。もちろん規格にあったものです。そのなかでも代表的なのは「SIFAM」です。知らない方はこの名前だけでも覚えてください。「サイファム」です。高級品です。

「SIFAM」はイギリスの企業でレコーディング業界では知らない人はいないくらい超メジャーです。
主にメーターとツマミを作っています。ヨーロッパ系の音響機器メーカーや高級機器メーカーは大体これです。
○SSLのコンソール、BusCompなどのVUメーター,GRメーター,ツマミ
○NEVEのコンソール、33609などのVUメーター,GRメーター、一部ツマミ
○ChandlerのGRメーター
○Focusriteのコンソール、一部ラックのVUメーター、ツマミ
○その他Manley,Tubetech,Drawmer,Maselec,などなど
キリがないくらい業界標準はSIFAM一択なところがあります。

Shinya's StudioのVUメーターボックスももちろん「SIFAM」を採用しています。SSLやNEVEのコンソールで慣れた方はSIFAMのVU一択といっても過言ではないと思います。しかもShinya's StudioではLEDの追加など一部仕様を指定して本国イギリスで特注してもらっているためヨーロッパの代理店経由でわざわざ輸入しています。

最後に


VUメーターは測定器ですので製品として出ているメーターボックスでSIFAM以外のものを採用しているメーカーは業務用ではないのかなと思ってしまいます。ましてや規格に収まっていない「なんちゃって」VUはちょっと心配です、、、

wavesなどプラグイン版のVUも多々ありますが、やはりどうしても振れが微妙に違うのとディスプレイを一部占有すること、あとプラグインだと基本DAW内でしか使えないので例えば外部のCDプレーヤー出力と切り替えて比較するとかということができないため敬遠してしまいます。

VUメーターボックスの価格はほぼVUメーター自体とケース代(板金代)で決まります。
SIFAMは業界標準ですが高級品ですのでSIFAMを採用しているメーターボックスは大体15〜20万円します。。。

宣伝(笑)


VUメーターはミックスやマスタリングで必須アイテムですので是非Shinya's StudioのVUメーターを検討してみてください(笑)

Shinya's StudioのVUメーターボックスはさらにレコーディング、ミックス、マスタリングなど幅広く使えるように4つの基準レベルを切り替えることができます。基準レベルはフロントパネルのそれぞれのトリムでメーターを見ながら調整可能です。4つ(ステレオで合計8つ)のトリムは全て独立しており1つを調整しても他を調整し直す必要がありません。

Shinya's Studio - Sifam small VU box 59,800円
http://store.shinya-s-studio.com/ca8/84/p-r-s/

現在かなり安価で赤字ギリギリなので将来的に値上げするかもしれません、、、

※2018年4月20日現在イケベ楽器渋谷店さんで展示させていただいておりますので是非メーターの動き、レベル切り替えの重要性を体感してみてください!
https://www.ikebe-gakki.com/realshop/powerrec/

次回のブログで実際の使い方、調整の仕方を書きたいと思います!
なにか質問がありましたらコメントかDMかお気軽にお寄せください。

ACアダプターの種類



今日はACアダプターの種類について書きますよ!

computer_adapter.png 

ACアダプターというと家庭用コンセントのAC100Vをそれぞれの機材用に電圧を下げるためのものですが種類が割とあります。ACは関東では50Hz、関西では60Hzの交流です。DCは0Hzの直流です。
今回は大きく分けていこうと思います。

1、AC-ACアダプター
まずはAC-ACアダプターです。これは単純に電源トランスが入っているだけでAC100Vを機器用にAC9Vなど変圧(降圧)します。電源トランスだけなので入力が1、2倍の120Vになると出力も1,2倍程度になります(定格以外は寿命が短くなる可能性があります)。極性はありません。反対に繋いでも逆相になるだけです。コンセントを逆に繋ぐのと同じです。大抵は交流のまま使う機器か、機器側に直流変換回路が入っています。

2、AC-DCアダプター
AC-DCアダプターです。これはAC100Vなどの入力を直流のDC9Vなどに変換します。極性はあります。一般的にはセンタープラスというもので同軸コネクターの中心がプラスになります。例外としてエフェクターなど音響機器はセンターマイナスというものが一般的です。逆の極性を繋いでしまった場合最悪壊れます(大抵は保護回路が入っていますが、、、)。

このAC-DCアダプターの中でも種類があります。

2-1、スイッチング電源式
スイッチング式です。スイッチング式の中でも種類はありますが割愛します。
電源回路において一番体積をしめるのは電源トランスとコンデンサですが周波数が上がると大きさを小さくできます。大抵は100kHz以上の可聴帯域外でスイッチングさせますが、10kHz程度のものもあります。ノイズが取りきれてなかったりインピーダンスが高い機械が近くにいると飛び込みます。
メリットは本体を小さくできるので、同じ大きさだと大容量が期待できます。下に出てくるシリーズ電源式と変換方法が違うため効率もいいです(90%前後?)。大容量のアダプターはだいたいこれです。大抵ユニバーサル電源と言って100V〜240Vまで対応するものが多いです。

2-2、シリーズ電源式
トランス式と呼ばれるタイプですが、AC-ACアダプターにもスイッチング電源式にもトランスが入っているのでこの呼び方はあまり好きではありません。
シリーズ電源式はスイッチングさせずに50または60Hzをそのまま直流に変換します。こちらは100Vなら100V専用です。120V、200Vは絶対に使用してはいけません。
入出力間で大抵3V以上必要なので効率はあまり良くなく熱が出ます。
シリーズ電源式はこの中にも2つあります(笑)

2-2-1、安定化されていないタイプ
安定化されていないタイプはAC100VをトランスでAC9Vなどに落とした後に簡単なダイオードとコンデンサで直流っぽくして終わりです。大抵は機材内部に安定化回路が入っているか、音響機器以外等のノイズにシビアでないものはそのまま使われることもあると思います。無負荷でACアダプターの出力をそのまま測定すると定格より高くなります。

2-2-2、安定化されたタイプ
安定化されたタイプは上記の安定化されていないタイプの後に安定化回路が入ります。大抵は専用ICで制御されます。入力がある程度変動しても、出力の負荷がある程度変わってもほぼ一定の電圧を出力します。

というわけでACアダプターは割と種類があります。安易に無くしたから代用するとか、小さくしたいから変えるなど考えずに純正を使ってください。

代用するか変更したい場合でも特に電気にあまり詳しくない人はメーカーか電気に詳しい人に相談してください。シリーズ電源式の安定化されているかどうかなどは分解しないと見分けがつきません。エフェクターにセンタープラスのACアダプターや、AC-ACアダプターをつなぐと最悪壊れます(センタープラスのエフェクターもあるかもしれないので確認してください)。