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なぜ電源で音が変わるのか



こんにちは。レコーディング機器メーカーのShinya's Studioです。

今日は電源についてのお話です。
巷ではオーディオ機器に関して高級な電源ケーブルや絶縁トランス、my電柱など電源に関わる話が割と出て来ると思います。

電源で音は変わるのか


そもそも電源で音は変わるのか。Shinya's Studioとしてはもちろん変わると言う認識です。
そこで今回はなぜ音が変わるのか解説したいと思います。

なぜ電源で音が変わるのか


なぜ機材の電源で音がわかるのでしょうか。

それは電源の音を聞いているからです。
一気に怪しくなって来ましたね〜(笑)

でもShinya's Studioはプロ用レコーディング機器メーカー。プラシーボではなくちゃんと解説します。
(分かりやすくするためにざっくりとではありますが、、)

アクティブ素子には3つ以上の端子がある


音を増幅するには何かしらのアンプを使います。

アンプの中にはアクティブ素子が必ず入っています。アクティブ素子とは真空管、トランジスタ、FET、オペアンプなど電源が必要なものです。

トランスで昇圧することもできますが、トランスはエネルギーの変換を行っているだけです。電圧をあげれば電流が小さくなります。

アクティブ素子には3つ以上の端子があります。それぞれ回路によって使い方は異なりますが、増幅回路の場合
・入力用
・電源用(出力兼用の場合がある)
・グランド用
の3つは必ずあります。

Transistor.png
上にトランジスタを使っためちゃくちゃ簡単な回路図をのせました。
四角で囲まれている部品がトランジスタです。

トランジスタは3本の足があります。真空管やFETもほぼ同じです。
3本の足のうち、
B(ベース)という足に信号を入力、
E(エミッタ)と言う足にGND、
C(コレクタ)と言う足に抵抗を介して電源(図では+18V)を接続します。

するとコレクタから入力信号が大きくなったものが出て来ます。

これが簡単なアンプの構造です。

アンプの動作原理は入力信号が直接出て来るわけではない


先ほど入力信号が大きくなって出て来ると書きましたが直接出て来るわけではなりません。

「アンプの仕組みはよくわかってないけど、ボリュームを回せば入力信号が大きくなるんでしょ?」
と思っている方もおられるかもしれませんが違います(笑)

イメージとしては入力信号が電源をコントロールして、入力信号の大きい版を電源から生成して出力しています。

もっとイメージしやすくすると人間が金属をつかって巨大な人型のガンダムを作る感じでしょうか?(笑)
人間が大きくなったわけではなく人間に似たロボットを金属でつくるイメージです。

オーディオアンプでいう電源は、ここでいうロボットの材料、金属にあたります。つまり金属の量以上の大きさのロボットは作ることができません。

アンプも電源が18Vだとすると18V以上出力することはできません。回路の定数によって出力しようとすることはできますが、電源電圧を越える時に波形の形が18V以下で止まります。それが歪みです。
(ロボットでいうと材料以上の大きさのものを作った時にどこか部品が足りない状態)

そして、電源の質が悪いとどうなるかはもうお分かりになるかと思います。
電源を用いて「入力さん」が「出力さん」を作りますので「出力さん」の質も悪くなります。

錆びた金属でガンダムを作ると錆びたガンダムができます(笑)
アルミニウムでガンダムを作るとアルミニウムのガンダm(

例えば電源にノイズが乗っている場合、出力にも同じノイズが現れます。
この場合出力のノイズをEQでカットすると音の周波数特性にも影響が出ますが、電源にフィルターを入れたりノイズの対策をすることで出力の音の周波数特性に影響を与えることなくノイズを除去することができます。

電源の対策については?


電源にも気を配った方がいいですが、電源の対策についてはまた別の話。
電源ケーブルで音が変わるかという質問には、「現状電源ケーブルが問題点であれば変わる」ということだと思います。他にもっと問題点があればそちらを解決した方が効果はあります。

例えば家の環境だと
電源タップにフィルター付きのものを使ってみる。
冷蔵庫やエアコンなどノイズを出しそうなものとはタップやブレーカーを分けてみる。
など。

ハムノイズなども実際50〜120Hz程度であればブーンとは聞こえないと思いますが、商用電源は基本的に歪んでおりその倍音成分が耳につくように思います。
電源対策をしてその歪みをできるだけ改善することでハムノイズが出ていたとしてもブーンとは聞こえないようにもできると思います。

またランチボックスなど電源が選択できる場合は何個か試してみる、または用途に合わせて選んでみるなど。

ランチボックスについては懐疑的な方もいらっしゃいますが、SSLやNeveのコンソールももちろんスロット式、APIはむしろランチボックス自体。
ランチボックスは±16Vの32Vですが、Neve 1073は+24Vなので1073よりヘッドマージンが取れます。ちゃんと設計されたものであれば問題ないと思っています。

先日TascamのAV-P250Sを買いました。これは電源の質を改善する目的もありましたが、アクティブスピーカーを導入したのでディレイ付きの電源スイッチで電源管理をしたい目的に導入しました。

音に関してはかなりスッキリした印象がありますが、同時に机の高さも変えてしまったのでその影響もあるかと思います(汗

というわけで


今回は電源で音が変わる原理についてでした。
ぜひ原理を理解された上で意味のある改善をしていただければと思っています。


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